2026年3月03日

― 整形外科で本当にわかる肩こりの原因 ―
「肩こりくらいで病院に行っていいの?」
「マッサージをしても、すぐ元に戻ってしまう」
「最近は腕までしびれる気がする…」
肩こりは、日本人が最も多く抱える不調のひとつです。実際に、国の調査でも常に上位に挙がる症状です。しかしその一方で、“たかが肩こり”として放置されやすいのも事実です。
整形外科では、肩こりを単なる筋肉疲労とは考えていません。そこには、筋肉だけでなく、神経・骨・姿勢・生活習慣など、さまざまな要素が関わっている可能性があります。
今回は、「整形外科でわかる肩こり」について、患者さん目線でお話します。

肩こりはなぜ起こるのか?
人間は二足歩行になったことで、肩が自由に動くようになりました。その代わり、頭(約5kg)と両腕を支える負担が首や肩に集中しています。
特に現代では、
・長時間のデスクワーク
・スマートフォンの使用
・猫背姿勢
・精神的ストレス
が続き、首から肩の筋肉(特に僧帽筋)が常に緊張状態になります。
筋肉が緊張し続けると血流が悪くなり、酸素不足になります。その結果、痛みを感じる物質が放出され、重だるさや痛みとして感じるのです。
これが、いわゆる「肩こり」の正体です。

でも、それだけではない場合があります
肩こりの中には、整形外科で検査をしたほうがよいケースもあります。
① 首の神経が圧迫されている場合
・片側だけ強く痛む
・腕や指がしびれる
・力が入りにくい
このような症状がある場合、首の神経が圧迫されている可能性があります。いわゆる「頸椎ヘルニア」や「神経根症」です。
単なる肩こりと思っていても、実は神経が関係していることがあります。

② 首の骨の変形(加齢変化)
年齢とともに首の骨や椎間板は変化します。画像で確認すると変形が見つかることもあります。ただし、「変形がある=すべてが原因」というわけではありません。
整形外科では、症状と画像を総合的に判断します。
③ 放っておいてはいけないサイン
・発熱がある
・急激に悪化した
・歩きづらい
・手の細かい作業がしにくい
・原因不明の体重減少
これらがある場合は、重大な病気が隠れている可能性もあります。自己判断せず、必ず医療機関を受診してください。
整形外科では何をするの?
整形外科では、
① 問診(生活習慣・仕事環境の確認)
② 神経の検査
③ 必要に応じてレントゲンやMRI
を行います。
大切なのは、「肩こりのタイプを見極めること」です。
単なる筋肉の緊張なのか、神経の問題なのか、それとも別の病気なのか。ここをきちんと判断することが、安全な治療につながります。
治療は「ほぐすだけ」ではありません
マッサージは気持ちよく、血流も改善します。しかし、根本改善にはそれだけでは足りません。
整形外科で重視しているのは、
① 筋肉の柔軟性を高めること
② 支える筋力をつけること
です。
特に、
・首の深い筋肉
・肩甲骨まわりの筋肉
を鍛えることで、再発しにくい体になります。
運動療法は「痛いときに動かすなんて無理」と思われがちですが、適切な方法で行えば、慢性化を防ぐ大切な治療です。
日常生活でできること
肩こり改善のカギは、生活習慣の見直しにもあります。
・1時間に1回は立ち上がる
・キーボードは体から少し離す
・スマホを見るときは顔を下げすぎない
・枕の高さは7~11cm程度を目安に
小さな積み重ねが、大きな改善につながります。
「肩こりくらい」で悩まないでください
肩こりは、我慢しがちな症状です。しかし、慢性化すると、
・頭痛
・吐き気
・集中力低下
・睡眠の質の悪化
につながります。
そして、まれではありますが、重大な疾患のサインであることもあります。
「いつもの肩こり」と決めつけず、違和感を感じたら一度ご相談ください。
最後に
整形外科は「手術をする場所」だけではありません。
私たちは、
・痛みの原因を正しく見極め
・必要な治療を選び
・再発しない体づくりをサポートする
ことを大切にしています。
あなたの肩こりが、単なる疲れなのか、それとも治療が必要な状態なのか。一緒に確認していきましょう。
「肩こりくらい」と思わずに、安心してご相談ください。
引用文献:整形外科における「肩こりへの対応」、中西一義:ペインクリニック2025:46:387-96
